2012年9月7日金曜日

ティムプー秋のもろもろ

こんにちは。昨日は夏の思い出を書きましたが、今日は秋のもろもろをご紹介。

9月10日から30日まで3週間、中国ツアー。北京と上海へいってきます。 これね、バンドのツアーというよりは、IOIC (Institute of Incoherent Cinamatography) という古い無声映画にライブミュージックをつけて上映する、というイベントを企画している団体のツアーに便乗するのです。映画を事前にみながらある程度音楽の構成を考えておいて、あとは舞台で、インプロ演奏をする感じのパフォーマンス。ティムプーの他にもチューリヒからミュージシャン5組が参加します。



私たちが担当する映画は短編も含め8本。そのうち4本はフランス人、ジョルジュ・メリエスの作品です。物語性のある映画をつくった最初の人、特殊効果撮影の生みの親、といわれています。1900年頃作られた作品は、今みてもシュールでシニカルで楽しいです。





マーティン・スコセッシ監督の「ヒューゴの不思議な発明」という映画はこのメリエスが題材の映画です。映画自体はちょっと残念とおもったりしたのですが、メリエスが当時建てたガラスの温室のような撮影スタジオとか、撮影風景とかは、かなり忠実に再現してあるらしく、興味深いです。

10月20日はイギリス、ウェールズにて、Swn Festivalというフェス。知り合いがやっているPeski Recordsがショーケースをもうけるので、そこに入れてもらいました。Peskiは小さいレーベルだけど、アーティストのラインナップが素敵。今、この他にもロンドンやマンチェスターなど他の町でライブできないか打診中。

そして、ニューアルバム、The Stone Collection of Tim & Puma Mimi (試聴はウェブサイトでどーぞー)。日本にも輸入されてるはずなんですが、日本の皆さんいかがです?

CDを持ってる方、もう聞いたという方は、ライナーノーツをご用意しました。そのむかし、ライナーノーツというのはCDやレコードジャケットの背面に印刷されてるものでしたが、mp3が市場を独占する今日この頃、そんな印刷のスペースはなく、そんなわけで、ライナーノーツもmp3にすべし、とお家で録音しました。英語ですが、よかったら聞いてみてください。

あんまりメディアに掲載されないジャケットの背面。
ティムが時々さりげなくアピールしてます。

あ、そうそう、忘れちゃいけない、私たちのニュービデオクリップ二本紹介します。(夏にリリースしたんだけど、「思い出」編には長過ぎて入れられなかった)。

OHAYO BABY
制作はチューリヒの若手アート集団U5。カラフルなネオンカラーのビーズやジャンクをアクリル樹脂でべたべたくっつけて、ポップでちょっとグロいスカルプチャーやマスクを作る人たちです。この曲はもともと、親友に赤ちゃんが生まれたとき(彼女の猫と赤ちゃんのブログ「猫が来た!」、面白いです)にプレゼントした曲なので、とってもストレートに子供っぽい歌詞なのですが、そこからティムはクラブ調なダンスビートを生み出し、U5はさらにディープな解釈をしています。こうやって作品が成長していくのも面白い。



High 5 Low 5
ニューヨーク在住スイス人の映像作家ステファン・クヌーセルさんが監督をしてくれました。以前にちょっと彼のお手伝いをしたので、そのかわり、NYに行ったときは簡単なクリップとってよ、とお願いしていました。私たちとしては、簡単なホームビデオ感覚のものを思っていたんだけれども、行ってみたら、ばっちりストーリーボードが用意され、撮影場所の下調べも入念に、撮影当日はプロデューサー、助監督、スタイリスト、メークというスタッフが揃い、カメラを引いて移動させるトローリなど、本格的な撮影が待っていました。NY、ブルックリンとコニーアイランドで撮影。私、腹出し衣装だけど、撮影日は10度以下で風がびゅーびゅー、めっちゃ寒い中、ほぼ一日外で撮影だったのです。根性とかあんまり好きじゃないけど、久しぶりに根性だしました。さぶがったーーー。



では中国、行ってきまーす。

2012年9月6日木曜日

2012年ティムプーの夏

みなさんお元気ですか?日本はまだまだ残暑が厳しいと聞きました。スイスの夏も毎日30度を超えかなりあつかったのですが、ここ二週間で「あっ」という間に秋になってしまいました。ここいらで、ティム&プーマミミの夏の思い出に浸ってみたいと思います。

7月13日、今年はスイスが主催のインターナショナルラジオフェスティバルの「オリンピックのロンドンでライブしよう」というコンペの予選に参加。予選は街頭ライブで、騒音の関係なのか、アコースティック限定というルール。バリバリ電気にプラグインの私たちはちょっと困ってしまいましたが、日本からの助っ人、ギタリストのToshi TKNGさんがアコギで大活躍してくれ、なんとか乗り切ることができました。このときの演奏の一部(「金魚鉢」と「ベルビルランデヴー」)をサウンドクラウドにアップしてます。コンペの結果は、また後で。

ユニオンジャックにどっかり座って。


7月14日、今年最大のイベント、首都ベルン郊外の山で開催されるグルテンフェスティバル。スイス最大級のフェスです。

メンバーは、私プーマミミ、ティム、ドラマーのゲオルグ、東京から参加のゲストギタリスト、Toshi TKNG、それからスタッフはMouthwatering Recordsのオーナー、アンディ、プロモーション事務所PROLOGのベネ、サウンドエンジニア(本業は現代アート作家)のローリー、ビデオ撮影担当にティムの妹シュテフィちゃん(本業はバレリーナ)。



メインアクト、ザ・ルーツのご機嫌な演奏まで天気もご機嫌だったのに、普段の行いが響いたのか、私たちの演奏が始まる30分ほど前から雨が。。。ライブは深夜2時から。雨だし、深夜だし、誰もこないんじゃないかとちょっとグレそうになった私でしたが、なんのなんの、集まってくれました、黄色いカッパのコアな音楽好きたちが。こんな天気だからこそ、会場のテンションは高く、私も思いっきり暴れ、顔をマイクにぶつけて前歯が欠けてしまったほどです。動画はアンコール。スイスの伝説的ガールズパンクバンドKleenexの曲「Nice」をカバーしています。




ライブの合間には山で新鮮な空気を堪能。「クリスタリーナ」という山でその名のとおりクリスタルの名産地。結晶じゃなくてもここの石にはキラキラした成分が入っていてきれい。そして、ひとつ、ちっちゃーいクリスタルのかけらティムが見つけました(クリスタルは持ち帰り禁止なんだけど、ちっちゃくて割れてるやつなら、まあ、たぶん、怒られない)。もちろん空気もぴりっとかりっと透明クリスタルでした。

下界は皆タンクトップにビーサンだというのに、
標高2000メートルのここは湖に氷が張っている。
クリスタリーナの石。私のお気に入りは左上。
ティム曰く「ゴルゴンゾーラ石」。

8月11日、スイス南部、マルティーニ(Martingni)という町のPALP Festival。町の中央広場をぐるっと囲む建物のバルコニーから演奏するという変わった設定。はじめのバンドの演奏が終わると、お客さんが次のバルコニーに移動して次のバンドが、というリレー形式。

上のバルコニーからみてる人たちには気がつかなかった。。。
8月12日。オリンピックの閉会日。飛んでったよ、ロンドンへ。そう、先のコンペで優勝したんです。スイス公式文化メディアセンター「ハウスオブスイッツランド」で、閉会式のスクリーニング前にライブでした。会場にはスイス人大勢。スイスの物産品でうめつくされ、異国情緒があまり、ない。して、お土産にスイスチョコレートをもらいました。いや、スイスのチョコはとおってもおいしーです、でも、ロンドンでもらわなくても。。。って思ってしまってすいません。でもね、舞台はテムズ川沿い、ロンドンブリッジの脇というザ・ロンドンな絶景。いい経験させてもらいました。

ドラマー、ゲオさんとロンドンブリッジ

8月13日。オリンピックが終わり、祭りの後のちょっとだけ切ない空気が漂うロンドンを離れ、ブライトンビーチへ。小雨がふる天気だというのに、ティムは果敢に海へ飛び込み、ミミはせっせと石集め。

ブライトンビーチは5つ星の石拾いスポットです。


8月18日。スイス、ジュネーブ、駅近くの公園で一日一バンドのゆるっとしたフェス。とってもいい天気で、とっても眠かった私は、ドラムのサウンドチェックでスヤスヤ。

眠いと爆音が鳴ってるクラブとかでも寝られます。
ライブの後でジュネーブ大学で日本文学を勉強しているかわいい女の子二人が上手な日本語で声をかけてくれました。「ミミさんのスタイル、ちょっとNANAみたいじゃない?」って。そ、そうかな。最近ずっとはいているボロのドクターマーチンと、首にかけてる(本当はプラスチックの)ごついチェーン、最近はまってる黒いアイシャドウが、そんな感じなんだって。


8月28日。夏最後のフェスイベントは地元チューリヒのカウフロイテン(Kaufleuten)。チューリヒではかなり大きく、オシャレ、かつかなり有名な人たちを呼ぶ(ローリングストーンズのチャーリーワットとか)箱なので、私たちにはなかなか馴染みがないのですが、そんな近寄りがたいイメージを打破しようと、したのか、しないのか、一ヶ月間ほど、スイスのインディーバンドを中心にしたラインナップのイベントが企画されました。楽屋にビールのほかにシャンパンがおいてあって、さっすがー。ま、あたしはビールが好きだけどね。で、ティムによるカウフロイテン的人物像を具現化すると、こんな感じ。サングラス(借りた)とおひげがポイント。

ちなみにヒゲはまだまだのばす予定。
音楽に革命を!ってか?

はい、そーゆーワケで、とっても充実した夏でした(だんだん書くのに疲れてきたんで、テキトーに締めます)。



2012年7月19日木曜日

読物:ハンブルグでストリート武士道を説く犯人

ニューヨークから帰ってきた後、ニューアルバムのリリースや、ライブ、フェスなどでバタバタしてました。これらは、また、まとめてリポートを書きます。で、今日は、パソコンのファイルを整理していて見つけた、3年前に書いたエッセイ(多分、「文化交流」がお題の作文コンペに出そうと思って書いたもの)が、割と面白かったので、載せちゃおうとおもいます。ちょっと長いのですが、おヒマな時に時間つぶしに読んでみて下さい。

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ハンブルグでストリート武士道を説く犯人

私はヨーロッパ滞在歴が長い。イギリスに1年語学留学をし、その後オランダに三年暮らした。当時知り合ったスイス人とティム&プーマミミというエレクトロポップバンドを始め、今はスイスと日本を行ったり来たりしている。

そこで出会った沢山の人達は、皆好奇心が旺盛で、私が日本人だとわかると持っている知識総動員で日本について語ったり、質問してきたりする。内容は、ヘヴィーなものから、知的なもの、微笑ましいものまで、さまざま。

イギリスの寮で同じ階に住んでいたムスリム教徒の秀才インドネシア人ドクターが、ミヤモトムサシは素晴らしい哲学者だと言った。ああ箸で蠅を捕まえる人ね、とテキトーなことをいったら、あきれ顔で、それしか知らないの、と小突かれた。

友達のホームパーティーで知り合ったオランダ人男性は「コンニチハ」に続き、もう一つ日本語知ってるよ、という。「バカヤロー」。親父がね、戦争中にインドネシアで日本軍の収容所に入っていて、そこで覚えたんだって。気のいい彼は、失礼だったかな、昔のことなので君を責めてる訳じゃないよ、と付け加えた。だったら言うなよな、というネガティブな気持ちと、過去の歴史の重みとが混ざってどっと疲れた。

ナイトクラブで紹介された友達の友達の青年は、大学院生で、日本に短期間留学するといっていた。クラブには珍しく学者肌で分厚い眼鏡をかけている。日本の女の子は白人男性が好きだと聞いている、僕もモテるねきっと、といってはにかんだ。私は無言でビールを飲んだ。

バンドのライブを見に来てくれたベトナム系スイス人のおしゃれなマッサージ師は、とても紳士な人。でも知ってる日本語は「おっぱいミサイル」。日本のディープな漫画にはまっててさー、ごめんね、ごめんね、恥ずかしい言葉なんだよね、と手を合わせる。彼の姿もマンガみたいだなと思った。

映画祭のティールームで向かいに座った長身美人のジャーナリストは、まだ名前も聞いていないうちから、とにかくよくしゃべる。一週間前に生まれて始めて浮世絵のエキシビジョンをみて、感動したという。特に線の表現が素晴らしくて二回も見に行ったわ、とタバコを片手に青い目を輝かせる。線とは、絵の輪郭だけじゃなく、脇に書かれている文字も含まれるのだと話していて気づいた。

一度ステージを共にしたファンキーなピアニストは、今度日本に旅行に行くので、とノートに書きためた質問をつぎつぎ投げてくる。最後は、少しもじもじしながら、あのー、ちょっとバカっぽい質問なんだけど、と前置く。何かと思えば、ラブホテルって何?っていうか本当にその。。。かわいいので、カップルがセックスするとこだよ、と元気に答えてあげた。

ちょっとした会話だけれども、日本人とは違った視点だったり自分の無知を実感したり。いつも母国を見直すいいきっかけになっている。こんな私の小さな文化交流の中でもかなりインパクトの強い出会いが、最近、ドイツのハンブルグであった。

2009年8月中旬、拠点としているチューリッヒからベルリンへ旅行し、その後ハンブルグへ向かった。ハンブルグのクラブで私のバンドが演奏するのだ。私は相棒のティムより1日先にハンブルグ入りし、同じクラブでDJをすることになっているベニー・ボーの家に泊めてもらうことになった。昼過ぎにハンブルグ駅に到着。ガラスの大屋根がかかったホームは明るい。夏休みで人がごったがえしている。巨大な駅で待ち合わせ場所がよく分からない。携帯電話でメッセージを送り合いながら、やっとのことでベニーの彼女、ヴァネッサを見つける。はじめての街で、知り合いを捜すのに焦っていたせいもあるかもしれないけれど、私のハンブルグの第一印象は「こわーい」だった。ハンブルグには港があって「タフな街」で知られている。大きな犬を連れたパンクスやギャングスター・ファッションの強面の若者がつるんで歩いている姿を多く見かけたし、転がっているビールの空き缶の量も、他の街に比べて多いような気がした。

そしてこの夜、実際にタフなオニーちゃんと出会うことになる。場所はベニーのフラットから徒歩30秒、下町の下北風おしゃれ地区(ここまできてやっと緊張がとける)にある小さなバー『Yoko Mono Bar』(ヨーコ・オノをもじっている。現地の人はヨコモノバーと発音)。このバーで、ベニーが朝までDJをするという。疲れていたので、あまり気乗りしなかったのだけれども、ベニーの関係者だからお酒は飲み放題、帰ろうと思えば30秒でベッドにたどり着く。それに、せっかくベニーとヴァネッサが「ミチコをもてなそう!」と張り切っているのを無下に断る訳にはいかん、と眠い目をこすって夜11時、Yoko Mono Bar の片隅、DJブースとバーカウンターの間にちょこんと座った。

ベニーのかける曲はオールドスクールのヒップホップが中心で、なかなかカッコいい。小さなバーで、人はまばら。DJブースの前より、奥のビリヤード台のまわりの方が人が多かった。日は暮れても心地よい温度なので、外で飲んでいる人も多い。ベニーも気楽にバーのスタッフやヴァネッサ、私と話をしたり、一人でゆっくり巨体を揺らして踊ったりしながらターンテーブルをまわしている。疲れている私にはちょうどいい。まったりしながらジントニックをちびちびすすっていたのだが、突然、雰囲気が変わった。

深夜12時すぎか。20代半ばぐらいのぶかぶかヒップホップファッションなオニーちゃんが、バーに入ってくるなり

「よーDJ、あんたサイコーだよ」

とベニーの肩をばんばん叩き、ダイナミックに踊り始めた。彼はすでに出来あがっている。ヨロヨロしながらも、ねー、音楽、サイコ—じゃん、と皆に話しかけて、煙たがられている。連れの彼女すら彼を持て余し気味で、途中、ぷいっと出て行った。それでもめげずに踊り狂うヨロヨロにーちゃん。一時間経ってもまだ頑張る。周りも彼の存在に慣れてきて、また、まったりモードに戻りつつある。

ここで、ベニーが私のバンド 、ティム&プーマミミのレコードをかけた。裏打ちリズムでヒップホップ調の『金魚鉢』という楽曲だ。モチロン私は、いえーい、とスツールを飛び降りた。ベニーもヴァネッサも、いえーい。内輪で小さく盛り上がっていたら、例のヨロヨロにーちゃんが、割り込んできた。

「いえーい、なになに?この曲?いいじゃん」

ベニーが、この子のバンドだよ、私を指差し説明する。うそー、まじー、うそだよね、と大げさなので、レコードに合わせて歌ってあげた。酔っぱらいだって自分の曲を褒められるのは何より嬉しい。うわー、本当だ、本物だー。すげー、と大騒ぎ。そして、新しくバーに入ってきた小柄なにーちゃんにむかって嬉々としてまくしたてる。

「よー、ブラザー。この曲、あの子が歌ってんだってー。すごくねー?」

登場までに時間がかかったけれど、この小柄な彼が今回の物語の主人公。オーバーサイズのタンクトップとパンツ、頭にターバン。小柄で細身だけど二の腕はマンガみたいに盛り上がっていて、大きな入れ墨が入っている。目つきが鋭い。エミネムみたいだ。すごかったのが首。右側の首の付け根に、なんと、漢字縦書きで『犯人』と彫ってあるではないか。ヨッパライで足腰ヨロヨロブラザーはまだ陽気で害がないので、いいとして、『犯人』はヤバい。このひとヤバい人だよー。私は出来るだけこの犯人君と目を合わせないようつとめた。彼もヨロヨロブラザーが大騒ぎで私の曲の説明をしているのをあまり興味がなさそうな顔で聞き流している様子。ほっとしたのも束の間、犯人君がこちらにやってくるではないか。なになに?ナンパ?いや、私、アナタのタイプじゃないとおもうなー、などと心の中では大騒ぎしながら、平静をつとめてクールにジントニックを飲んでいる格好をとった。出来るだけベニーのDJブースに近寄って。

「xx@&%%%$!!!@?」

私はほんの少ししかドイツ語が理解できない。緊張のせいもあり、彼の言っていることは一言も聞き取れなかった。ドイツ語できないの、と素っ気なく英語で答える。すると、そっか、オオケ—、エイゴネ。と言語を切り替えてくる。話せないと思ったのに残念。心で舌打ち。犯人君が

「この歌は日本語?君、日本人?」

と聞いてきた。そう。日本人だよ。といいながら私はベニーに助けての視線を送る。でも犯人君はまだ続ける。

「日本人か!日本の文化素晴らしいね」

意外なコメント。

「俺、アイキドー、やってるの。日本のマーシャルアーツは美しい」

といって、ぺこり、立派な日本風のお辞儀をした。そして次がもっと意外。

「俺、ハガクレの思想が素晴らしいと思うんだ」

ハガクレ?はがくれ?葉隠!あの武士道の本。私は『葉隠』そのものは読んだことがなかったけれど、これをテーマにした隆慶一朗の『死ぬことと見つけたり』という小説を二ヶ月前に読んだばかりだった。とてもかっこいい物語だった。それで、この犯人君の話にすこし興味を持った。私の助けて視線に気づいたのか、ベニーもちょくちょくこちらをチェックしてくれてるし、もう少し話してみよう。

「毎日死ぬってヤツだよね、詳しくは知らないけど」

「そうそう。もうすごいよ。俺はゴッド、信じない。ゴッドは助けてくれない。でもハガクレの思想はストリートで役に立つ。毎日死ぬ気」

どうやら彼はジム・ジャームッシュの映画『ゴーストドッグ』で葉隠を知ったようだ。葉隠をもとに行動する殺し屋の話。ギャング映画だしサントラはヒップホップ。犯人君のスタイルに完全マッチ。なるほど。

彼は少ない英語のボキャブラリーで真剣に話す。

「ハンブルグはキツい街だよ。特にストリートで生きてるやつにはね。毎日、安い給料で清掃の仕事して、ストリートにもどったら自分の身は自分で守る。あと、ブラザーもね」

といってまだ陽気におどっているヨロヨロブラザーを見る。

「俺、いつもクリミナルみたい。だからこの入れ墨」

と例の首に彫られた『犯人』を指差す。なんだか彼が真剣なので、こちらも正直に感想を言うことにした。

「気づいたよ。正直、ヤバい、と思ったもん」

あははー、と犯人君は優しく笑った。顔に小さな傷があって、彼の『ストリート』の世界をかいま見た気がした。

「でも、これ、本当に俺のことだから。ヤバいの。ストリート。ゴッドは役に立たないけど、ハガクレには行動の精神が書いてある。だから俺、ハガクレの方がいい。それから音楽。音楽も救ってくれる。バンドやってるんだ。ラップで怒りとか表現するの。そういえば君もミュージシャンだったね」

うん、音楽サイコー、とハイファイブを交わした所で、会話に聞き耳をたてていたのか、心配で自然なそぶりを見せかけて偵察にきたのか、ベニーがヒューマンビートボックスを刻みながら私達の所にやってきた。犯人君もビートボックスを重ねる。私は言葉のようなそうでないようななんちゃってラップで拍子をとる。ストリート葉隠武士道犯人にちびっ子日本人ポップシンガー、それに巨体のおちゃめDJが加わって、即興ラップで一致団結。文化、いや、生き様のチャンポン。キャラの濃い三人が偶然集った。まるで映画かマンガだね、こりゃ、と、本当なら心温まる所なんだけど、ちょっとおかしくなってくる。

後ろではヨロヨロブラザーが、ドロンドロンブラザーに変化していた。もうふらふらで踊りもおぼつかない。いつの間にか戻ってきた彼女が肩を支えてふんばっている。犯人君は

「俺帰る。あいつ連れてく。じゃあ」

といって私に手を差し出した。礼儀正しい握手。そして、ドロンドロンになったブラザーを慣れた手つきで抱えて出ていった。

葉隠と合気道と音楽と、そして、陽気でだらしないブラザーを心のよりどころに、いつも目つき鋭く神経を尖らせている、じつは誠実な犯人君。彼が自分を「犯人」呼ばわりしない日がくるといいな、と思う。そして日本という国が実に様々な人から、様々な理由で興味をもたれているのだなあ、とあらためて、おどろかされた。

2012年5月7日月曜日

大林檎旅行

二日前、ニューヨークの旅から戻ってきました。私達ティムプーとドラマーゲオさんの三人で、三週間、ビッグアップルで何をしてたかというと、、、

飲む。ビールはちょっと高くてどこへいっても6ドル前後。刷りたてほやほやニューアルバム片手にカンパイ。


休息。セントラルパーク、いいです。ちなみにティムの新ヘアカット、かっこいいでしょ。NYでお世話になった日本人ヘアドレッサーAricaちゃん作。いいシゴトです。


演奏。これ本業なり。ニューヨークで三本、フィラデルフィアで一本。私の目、コワいですね。

Photo by Arika Kanto

撮影。ニューアルバムに入る「High 5 Low5」という曲のビデオ撮影。知り合いのカメラマン、ステファン・クヌーセル君に何気なく頼んだら、低予算ながらも、カメラ、スクリプトライター、プロデューサー、メイクが揃い、思いもよらず本格的。私は腹だし衣装なのですが、激寒く、胸より上の撮影の時は腹巻きまいてます。しんどかったー。でも、摩天楼バックにこってこてニューヨークな映像とったもんね。ファンタジーなオモチャヒップホップがコンセプト。



採取。石、ここでも拾ってます。ニューヨークはなかなか石が見つからない。ブルックリン橋のたもとの人口っぽい河岸でやっと石拾い。ニューヨークの石は半透明のガラス質か、レンガが小石状に丸くなったオレンジ色のもの。友達に見せたら「げーっ、NYの石なんて汚染されてんじゃん、やばくね?」とのこと。



収録。5月1日メーデー。イーストビレッジラジオで二曲演奏、インタビューを受けました。収録ブースは三畳ぐらいの大きさのショーウィンドー的な空間。歩道に面していて、通行人が立ち止まったり、手を振ったり、「変なの」って顔してたり。DJは昼間っからビール飲みつつ、おどりつつ、大盛り上り。通りすがりのおじいさんが、ちょうど流していたファンクの曲に合わせてタンバリンを叩きはじめると、DJがすかさずマイクを向ける。とってもいい雰囲気でクレイジーなイーストビレッジラジオ。こういうクールな「ご近所ラジオ」スイスや日本でもやってほしい。ネットで私達の放送、聴けるよ(5月1日のアーカイブ、番組の真ん中ぐらいからの出演してます)。


作曲。5月3日、帰りの機内にて。曲になるまでまだまだ先は長いけど、とっても素敵なフルートのループができてました。私の作詞は全然進まず。


追悼。翌4日チューリヒ着。家に着くなり大好きなビースティーボーイズのMCAことアダム・ヤウクさんがNYで死去したとのニュースを読む。ちょうど私達が飛行機に乗ってNYを離れたころ息を引き取ったらしい。摩天楼でお上りさんしながら「ここのどこかにビィースティーボーイズ達がいるんだよねー」などとティムと無邪気に話していたことを思い出す。ご冥福をお祈りします。この曲で追悼というのも、雰囲気全くないけれど、名曲、名ビデオだもの。

2012年4月7日土曜日

ポスターバンザイ

しつこいようですが、何度でも言います。ニューアルバム「The Stone Collection of Tim & Puma Mimi」が5月11日にリリースです。で、リリースのあとは、ライブだ!ってなわけで、石ツアーのポスター、作りました。デザイナーは、CDのジャケットをやってくれた、チューリッヒ在住日本人のリオさん。仕事早くって、出来上がりはかっこ良くって、ティムプー頭があがりません。

色んな場所でライブするので、その都度会場名を書き込こんで使い回しできるよう、黄色の吹き出し部分はあえて空白にしてあります。


で、記念すべき一本目、レコ発ライブの会場「EXIL」の詳細のステンシルを作って、スプレーしました。リオさんのかっこいいデザインを壊してしまわないように試行錯誤でフォントを決め、スプレー始め!と思ったら、外は雨。スプレーは相当におうので部屋の中での作業は苦しい。で、思い出したのが、アパートの屋根裏。物置になっていて、あんまり使っている人がいないので、大きなスペースがあるのです。窓があるから換気もできる。こんな感じで作業です。薄暗い屋根裏でスプレー。別に悪いことしてる訳じゃないけど、ワルな気分。ティム、わざとフードかぶって、ストリートアーチスト気取り。50枚ほどスプレー、えっさ、ほいさ。


下が完成形。写真だとよく見えないかもしれないけど、上のフォントや、ティムの頭あたりにもワザと金色の「汚し」スプレーしてます。スプレーは均一ではないので、これで、一枚一枚ポスターに表情の変化がでて、ティムプーらしくなりました。面倒な作業だけど、こういうところ、大事っす。準備は万端。あとは、いい演奏するのみだ。


2012年4月5日木曜日

Gurten Festival でるよ

こんにちは、プーマミミです。ニューアルバム「The Stone Collection of Tim & Puma Mimi」は無事入稿。ポスターも入稿。あとは、ポストカードをやったら、来週から三週間ほどニューヨーク!ライブやったり、友達にあったり、ビデオ撮影があるかもしれなかったり、曲作ったり、半シゴト、半ホリデーのビッグアップル、楽しみだ。

そして、夏のワクワク情報。
スイス、ベルンのグルテンフェスティバル(Gurten Festival)に出演します。最近オフィシャルプログラムが発表になりました。7月12日から15日、4日間のフェスで、我らTim & Pumaは7月14日の午前2時、パーティータイムの演奏です。 日本からギタリスト高永俊幸さんも駆けつけてくれることになっていて、胸躍ります。

下はグルテンフェスのHPに載った、ティムプーのプレスフォト最新作。

Tim & Puma Mimi (3) by Brigitte Fässler 2012
Photo by Brigitte Fässler

Gurten Festivalは大型フェスで、メインアクトにはノエル・ギャラガーやゴリラズサウンドシステム、ノラ・ジョーンズ、The Rootsなんかが名を連ねています。

スイスのバンドもかっこいいのがいっぱい。中でも楽しみなのは、

Knackeboul
今スイスで注目のビートボクサー・ラッパー。テレビの司会などもつとめる人気者。ドイツでジャミロクワイのサポートをつとめ、メインよりも盛り上がったという実力者。ライブは、パワフルで、賢く、お笑いのセンス抜群。お客をからめたインプロライミングで大盛り上り。踊れるラップ。曲はポップ。ライブはロック。あ、私達のニューアルバムの中で一曲、彼がビートボックスしてくれました。


Copy & Paste
フェスの地元、ベルンのエレクトロポップ男女ユニット。ティムプーとなんとなく通じ合っていて親近感があるバンド。ティムプーよりもっとピコピコでガンガン。楽しく、熱いふたり。


Bonaparte
スイス人がメインヴォーカルをとるベルリンのバンド。スイス、ドイツでかなり人気。Fluffy punk(ふわふわパンク)と本人達が呼ぶ音楽は、ミニマルでちょっとレトロなタテノリ。ナポレオンfeat.怪獣的なコスプレをしたメンバーと沢山の踊り子達がステージで暴れるサーカスパフォーマンスがとにかくすごいらしい、キワモノ系。でも曲はキャッチー。ヒットソング「Too Much」は歌詞の内容が良くって、すぐ口ずさめるようになります。


2012年3月21日水曜日

爽やかアルプスポップ:The Homestories

アルバム「The Stone Collection of Tim & Puma Mimi」(試聴はコチラ)、ジャケットデザインが最終段階、入稿まであと一踏ん張り(一番がんばってるのはデザイナーさんですが)!

と、鼻息荒いところで、一休み、一休み。

ラ・カトリーナというバーにライブを見に行ってきました。このバー、メキシカンでキッチュな内装、50人入ったらギュウギュウの小さなお店。演奏用のステージはドラムセットが載ったらあとはほとんどスペース無し、というサイズなのですが、結構名の知れた地元のロック、ポップ系のバンドがライブをすることで有名です。

今日は、The Homestoriesというポップバンド。とっても気持ちいい男女ツインボーカルの爽やかポップ。ちょっとだけ憂いがうかがえる部分やハードさがある曲の感じがニクい。可愛らしいけど、クールな面があるスイスな気性がうかがえます。The CardigansやYo la Tengo、New OrderそしてKissなんかに影響を受けているというから、納得。作曲のクオリティーも、ライブ演奏のクオリティーも(特にボーカル、ガブリエラさんの安定ぶりは素晴らしい)すごく高く、かといって、教科書的につまんなくまとまっている訳ではなく、熱がある。私の好きな曲はライブの最後に演奏する「Thank you good bye」という泣きポップ。



さて、このThe Homestories、5月、ティム&プーマミミのリリースと丁度同じ時期に、ニューアルバム「Aha Aha」をリリースします。私達、前回のアルバムリリース時期もかぶっていて、なんというか、バイオリズムが似ている。親近感を覚えるバンドです。

2012年2月28日火曜日

日本海岸縦断の男の話

皆さん、トーマス・コーラさんというスイス人をご存知ですか?きっと、彼、すぐに、ロジャー・フェデラーやアンディ・フグ級に「日本で有名なスイス人」になると思うので、紹介しておきます。何といったって、北海道の北端から九州の南端まで、徒歩で横断しちゃった人なんですから。

トーマス・コーラさんは大の親日家で日本語も堪能。チューリヒの旅行代理店に日本担当として勤めていました。が、2011年3月11日以降、日本旅行の予約はキャンセルが続き、ついにはトーマスさんも職を失ってしまいました。そこで、大震災が起きても日本にはまだまだ素敵な所がある、とアピールするため、徒歩での日本海岸縦断を始め、半年で2900キロを踏破しました。その間、毎日アップしていたブログにはたくさんのアクセスがあり、日本政府からも表彰を受けたコーラさん。

仕事をなくしても、お茶目に菅笠をかぶって、笑顔で楽しく歩くコーラさんのドキュメンタリーが今年9月に日本とスイスでリリース予定です。それで、本日予告編が解禁になりました!我らTim & Puma Mimiの楽曲「Perspective」も使われています。ぜひご覧下さい。



2012年2月21日火曜日

Tim & Puma Mimi ニューアルバム

こんにちは。プーマミミです。

ティム&プーマミミのニューアルバム「The Stone Collection of Tim & Puma Mimi」(ティム&プーマミミの石コレクション)、5月にリリースが決まりました。イエーイ。長い、道のりでした。

オリジナル、カバーソングなど13曲。盛りだくさんのストレンジポップアルバムです。

The Stone Collection of Tim & Puma Mimi
2012 Mouthwatering Records

すでにレーベルMouthwatering Recordsからプレオーダーが始まっています。3月14日までにオーダーしてくれた方はプロデュース協力者として、ブックレットに名前が載ります。全曲フル試聴可能なので、気に入ったらプレオーダー宜しくデス。

The Stone Collection of Tim & Puma Mimi 試聴、プレオーダーはコチラ (英語のみ)

何で「石コレクション」かと言うと

1)プーマミミの趣味が石ころを拾うこと。ティムがミミの鞄をもったら、重くて中を見てみたら小石がいっぱい入っていた、とか、キャンディーの箱があったんで、なめてみたら、石だった、とかそんな思いで話をしていて、「石コレクション」ってタイトル、いいんじゃない?

2)石って、キラキラしたものや、ただの普通のやつで道ばたに転がっているのにも面白い発見があったり、重かったり、気づかないけどそこにあったり、、、、となんだか音楽そのものみたいだね。

3)その辺から拾ってきた石でアートワークやクッズを作ったら、ユニークだし、安上がりじゃん。

とか、そんなんで「石コレクション」になりました。ジャケットに使われている石も、実際、河原で拾ってきたものに、スプレーしました。鞄一杯の石を持ち帰ってきたのですが、すごく重くて、私の布製ショッピングバッグは破れてしまいました。そんなティムプーの重みがつまったアルバムです。よろしくね。

2012年1月15日日曜日

Anatopia ジャパンツアー

皆さん、少し遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。ティムプーはスキー旅行でスキー、スノボ、ソリにフォンデュとアルプス山生活を堪能してきました。リフレッシュした所で、ニューアルバムのファイナライズに向けて、がんばります。今年もティム&プーマミミを宜しくお願いします。

新年一本目のお話は、オランダのエレポップパンクバンドAnatopia以前に一度このブログで紹介したのがきっかけで知り合いになりました。で、彼ら、来週からジャパンツアーです。パワフルでポップな曲に、立ちながらギターとドラムを同時に演奏するクラウスと、ロボダンスのキーボード、ヘンリエッタという、個性あふれるユニットです。


楽しいので、お近くに住んでる方、お時間ある方、ぜひ、ライブに足を運んでみて下さい。スケジュールは下記のとおり。

Anatopia Japan Tour

1/18 Shinjuku-Koenji Club Liner (Tokyo)
18:00/18:30 2000/2300yen (+ drink)

1/19 Aoyama Tsukimiru/Moonromanric (Tokyo)
18:00/18:30 2000/2500yen (+ drink)

1/20 Shibuya O-Nest (Tokyo)
18:00/18:30 2000/2500yen (+ drink)

1/22 Kichijoji GOK Sound (Tokyo)
16:00/16:30 2000yen

1/25 Sengoku Daitoryou (Osaka)
18:00/18:30 1500/2000yen (+ drink)

1/26 Navaro (Kumamoto)

1/27 Yakuin Utero (Fukuoka)
18:30/19:00 1500/2000yen (+ drink)

1/29 Akihabara Club Goodman (Tokyo)